花椿webサイトの「ダルちゃん」が面白い。
皆様、花粉とはいかが共存しておりますでしょうか。どうも、robeです。
ネットサーフィンが好きな私ですが、たまに自分がピンとくるようなコラムやブログに出会えると、すぐに「お気に入り」登録して全記事読破したくなるような、つまり恋に落ちてしまいます。ダーリン、アイウォンチュー。
その中で、今日は。
「花椿」って皆さんご存知ですか?
資生堂の元は月報らしいのですが、月刊誌としては2016年に刊行が終了し、今はwebサイトの方と、年に4回の季刊誌として流通しているそうです。
私は「花椿」と聞くとまず思い出すのは、天海祐希さんがまだタカラヅカに入る前に拍子を飾った雑誌、というものすごくコアな情報の中で認識してました笑。(昔読んだ天海さんのエッセイかなにかに載ってた気がすんですよね・・・)
この花椿のwebサイトを、なぜ覗くことになったのかあまり覚えていないんですが、そこで、毎週木曜に更新される「ダルちゃん」という漫画が面白いんです。
(2018年3月2日現在は第21話まで更新)
この漫画、勿論第1話から読んでもらいたいんですが、題名の「ダルちゃん」っていうのは、主人公の女性の呼称なんです。
1話から読むと、この女性が「丸山成美」さんというちゃんとした名前のある24歳の派遣社員の女性であることが分かるのですが、なぜ彼女が「ダルちゃん」かはすぐに明かされます。
(※ここからは完全にネタバレになってくるので、嫌な方はここからスルーしてください)
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彼女はいわゆる「ダルダル星人」で、例えばお風呂に入ることやメイクをすること、ハイヒールを履いて通勤すること、これら全てを駆使してようやく「人間」という擬態ができるようなんです。ダルダル星人のときの丸山さん=ダルちゃんは、絵柄的にも本当にアメーバのような宇宙人なんですが笑、会社にいくときや社内にいるときの彼女はきちんとしたOLさんとして描かれています。そして彼女が素の姿を見せる時(自宅にいるときや、一人休憩中の屋上など、擬態をしなくてもよい空間では)、再び「ダルちゃん」としての姿を見せます。
もう、この導入からしてとっても好みだなと思って。社会で生きていくうえで、特に女性は、いろんなもので自分を武装させている、という暗喩ですよね。でも本当は、みんな自分の「ダルダルさ」を自覚している。
そしてこの物語がどういう展開をみせていくかというと、ダルちゃんは社内のとある男性から声をかけられるんですが、この男性との関わりの中で、ダルちゃんははじめて「自分が人を嫌いになる」感覚を知ります。いえ、当初は「嫌いになる」という感覚ではなく男性に対しての接し方が全く分からなくて、がんばって周囲を見ながら「擬態」させていくのですが、この男性はダルちゃんを口説く姿勢はみせてくるものの「自分が常に上位に立った上で女性を自分のモノにしたがる」という中々のクズっぷりで(でも読んでいると分かるのですが、こんな男性いるいるという描写の上手さ笑)、ダルちゃんは当初「この人に必要とされる役割を演じること」にものすごく腐心します。しかし最終的には、この男性から「打ち捨てられた生ゴミみたい」と自分を感じさせれるような展開に。
ここで秀逸なのは、そのことを最初に指摘するのが会社の同僚の女性なんですよね。ダルちゃんが当初彼に頑張って(無理して)合わせているのを見て、「あいつに尊厳を踏みにじられるようなこと許しちゃ駄目だ」と告げるんですが、ダルちゃんはその言葉に反発します。なぜこんなことをこの人に言われなきゃならないのか、と。そしてむしろその彼女のことを「嫌いだ」と思うのですが・・・
ダルちゃんがぼろぼろの雑巾のようになっているときに、彼女は告白してくれるのです。昔自分も似たような男と付き合って、そして自分を踏みにじってしまった、と。そしてその告白を聞いたダルちゃんはおもわず擬態を忘れます、ダルダル星人になりながら涙をこぼすダルちゃんを、「大丈夫、大丈夫」といいながら先輩は抱きしめてくれるのです。
「嫌だな」と思った先輩は、本当は自分の合わせ鏡のような存在で、今まで「擬態」でしか自分をこの世界で溶け込ませることを知らなかったダルちゃんが、初めて知る素の自分=本当の気持ち。ここ、泣けました。
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この物語はさらに進んでいくのですが、もうね、なんかとっても女性に読んで欲しいなと思う漫画です。
女性が抱えるアンビバレンツな思い
・自分自身を愛すること
・人から愛される自分をつくること
これらの両立がいかに難しいものなのか、いまの社会を生きる私たちにはとっても刺さるものがあると思います。
このマンガの作者の「はるな檸檬」さんてどこかで聞いた名前だ!と思ったら。
タカラヅカファンの生態と日常を描いた「ZUCCA×ZUCA」の作者さんだったのね!これも面白いんだなあ~私はそこまでヅカに詳しくはないんだけど(一般のタカラヅカを知らない人よりは基本的知識がある程度。だけど今の5組のトップさんとか知らない・・)
こういうあるあるなことを描くのがとてもお上手なんでしょうね。
(おもうんだけど、全ての物語は「共感」を軸としてて、その共感=あるあるな事をいかに伝えるかっていうのがとっても難しいと思うし、その作者の力量なんだなと思う)
続きが早く読みたいなあと思わせる作品です。
おすすめ。